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公開講演会「宮崎と世界を結ぶ食と科学」を開催!

2024年3月14日

 ボツワナで先住民族サンの人々の栄養状態の調査に取り組むテビ・レエピレ博士を迎え、現代の食をめぐる課題や食の未来について議論を深めました。

新谷教授の講演

 初めに、本学環境園芸学部 新谷喜紀教授が、講演「アフリカと日本の昆虫を通したつながり」を行い、人間の移動に伴う昆虫の居住域の拡大や、気候変動に伴う生態の変化など、小さな昆虫たちのグローバルなダイナミズムが紹介されました。また、とかく「害虫」と敬遠されがちな昆虫たちを食物として捉えなおそうという現代の取り組みにも触れ、貴重なたんぱく源としての昆虫食の可能性も議論されました。

レエピレ博士の講演

 新谷教授の講演を受けて、テビ・レエピレ博士は現代のアフリカに暮らす人々の課題と食との関連性に迫る研究報告を行いました。「ボツワナの先住民族サンの周産期女性及び幼児における低栄養と貧血症の有病率について」と題した講演でレエピレ博士は、ボツワナの政策によって狩猟採集活動を制限され、一つの場所に定住した生活を余儀なくされた人々―特に女性と子どもたち―が、低栄養状態に置かれる現状や貧血症の有病率が高いという事実を紹介。今後のさらなる調査研究の必要性や栄養教育の重要性を論じました。

渡邉教授の講演

 最後に登壇した本学健康栄養学部 渡邉純子教授は、「食でつながる宮崎と世界」と題して、前の二人の登壇者の講演を振り返りながら、宮崎の子どもたちの食をめぐる課題と可能性を論じました。議論の中で渡邉教授は、私たちがアフリカの食や人々に思いをめぐらせる際に、「彼らから何を学べるか」を問い、対等な関係の中で対話することの大切さにも触れました。

講演後質問を受けるレエピレ博士

 会場には30名ほどの皆さんが来場され、熱心にメモを取る姿もあちこちで見受けられました。また講演後は、来場者の皆さんとの活発な質疑応答も行われ、深い議論に、関心の高さがうかがわれました。閉会後も、三人の登壇者の元に多くの来場者が訪れ、質問をしたり談笑したりする姿があちこちに見受けられました。

 なお、本学の新谷教授、渡邉教授と、レエピレ博士は、今後も海を越えて学術面での交流を行っていきたいと話しており、今後の展開が注目されます。